西村 建三 作品展Kenzo Nishimura Exhibition
2019.6.4(火)~6.16(日)開廊:12:00~19:00(月曜休廊・最終日17:00まで)
Apoptosis
意識と時間を超越するアポトーシスなんだ、ボクの身体もプログラムされた細胞が上手に死滅して、 全体のカタチを整えている。死をインプットされた細胞があることに驚いた。そして、個体の意思と関係のないところでカタチにまで 関わっているのだ。死のシグナルを送られた細胞は自己判断して周 りの細胞を傷つけずに逝く(アポトーシス)。この死があるからこ そ生命が維持されているらしいのだ...。生きているという実感が 益々曖昧になる。
DNA は有性生殖によってランダムな組み合わせを得た。こうして多様な DNA が産みだされるとともに、このシステムも誕生した らしい。
この死の DNA は生物の個体を超えて大きな循環装置とも いえる、生命の舟の舵取りのように思えてならない。ボクらとは違っ て有限時間から逃れ、この舟は大きな意思と繋がって漂っている。 死と向き合っている個体は、この舟にアクセスし何かの作用や伝達 というようなものができるのだろうか...。 ボクなどは、時間が集積した樹木の年輪に固有の指紋のような ものを感じ、オンリーワンの木肌に眠る記憶を探り、皮膜を剥が すように愛おしく執着するしかないのだ。時空を超えた生命の舟か ら降りそそぐ何かを待ち望んで...。
Apoptosis の語源はギリシャ語の apoptosis アポプトーシス:「apo(離れて)」と 「ptosis(下降)」に由来し、「(枯れ葉などが木から)落ちる」という意味である。多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために 積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞 死のこと。
西村 建三(にしむら けんぞう)略歴
1950年大阪市生まれ。1969年大阪市立工芸高校図案科卒。1971年初個展以降、造形作家・デザイナーとして活動。個展、企画展など多数。1989年新梅田シティ再開発にともなう[コミニュケーションウォール]で今井祝雄氏・滝本明氏と第1回大阪市都市景観アメニティ表彰を受賞。1990年国際花と緑の博覧会/EXPO'90に建設省が出展した[さぼうランド]のアートディレクターとして参画。1993年建設省/街なみ整備事業/氷室プロムナード(高槻市)にモニュメント[水の種子]制作。1999年NTT建物/モニュメント[風の樹](肥後橋アーバンエースビル大阪)で第10回大阪市都市景観アメニティ表彰を受賞。2004年国土交通省/桜島国際火山砂防センター/モニュメント[幸田文 文学碑]建立に(鹿児島)に参画。また、産經新聞、朝日新聞などの新聞連載小説・エッセイの挿画を担当。著書には、都筑道夫氏、稲見一良氏、あさのあつこ氏、黒川博行氏、佐倉統氏・谷村志穂(対談連載)など。